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「第15回 チョウ類の保全を考える集い」が開催されました

2月16日(土)、国立オリンピック記念青少年総合センターにて「第15回 チョウ類の保全を考える集い」が開催されました。
前日には雪がちらつきお天気が心配でしたが、当日は太陽も出て、絶好の集い日和となりました。

お手伝いスタッフの方々には、早めに集まっていただき、打ち合わせです。注意事項や、受付の流れなどを確認しました。
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受付開始は10時でしたが、早めにご来場くださる方も多く、さっそくに受付を開始。10時半の開会時間には、たくさんの方にお集まりいただけました。
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松村代表理事の挨拶の後、講演が始まりました。
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最初は、リバーリバイバル研究所の新村安雄氏に、絶滅危惧種の淡水魚アユモドキを軸にして、人と河川との関係について「川を通して、日本の自然を語る~なぜアユモドキは、絶滅の道を辿るか~」というタイトルでご講演いただきました。
もともと川とその氾濫原を生息地としていたアユモドキが、人間による治水の負の影響や、水田の放棄の結果として生息地を失い、絶滅の道を辿りそうであること。古くからの人間と河川との付き合い方は明確で、できる限り水害の生じない場所で生活を営んできたこと。そのルールから外れた現代の土地改変は、時には大きな災害をもたらし、さらに特定の生物を絶滅に追いやるなど、双方に害が及ぶ可能性があることを語っていただきました。
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お昼の休憩中には、当会の「第13回会員総会」を開催いたしました。
事業報告や予算案などの議案が出され、ご出席の正会員の皆さまより承認をいただきました。ご出席くださいました皆さま、どうもありがとうございました。
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午後の前半部は、草原のチョウ類について、火入れとの関係性の視点から3題ご講演いただきました。

まずは大脇淳氏(山梨県富士山科学研究所)による、「草原を考える新たな視点:チョウからみた草原生態系と保全の意義」についてです。当会編集のフィールドガイド「日本のチョウ」を資料に、日本のチョウを草原性種、撹乱地種、森林性種の3つに分類し、その間で世代数、絶滅危惧状況、分布域、固有性などを比較されてお話しくださいました。
日本の草原性のチョウも森林性の種と同様に年1化で狭食性の種が多いことが示され、草原性のチョウが進化してきた環境が遷移的ではなく、比較的安定性があった可能性があることが論じられました。
これは、日本の草原環境が遷移の途中段階であるという一般認識を覆す、新しい視点からの議論でした。
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次の増井太樹氏(岡山県真庭市・全国草原再生ネットワーク)には、「火入れによる伝統的な草原の管理」というタイトルで、火入れの歴史や現状や火入れによる土壌の物理的な変化についてお話していただきました。
火入れ時には、やはり地上50cmでは400℃を超える温度となるものの、一方で地表部や地下部ではそれほど温度上昇がないので、地中に生長点のある植物や埋土種子、地中で越冬している昆虫などはダメージを受けることはほとんどなく、草原の管理として有効だが火入れ管理が行われている草原は減少しているとの事。
しかし、ある地域では、火入れを「地域の文化」や「草原の生物多様性の保全のため」といった目的で火入れを捉え動きも出て、安全に火入れを継続できる体制が整いつつある所もあるとの事。このような形でも火入れの継続をして、草原が保全されるといいと思いました。
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このコーナーの最後には、当協会の事務局長の中村康弘が「火入れによるチョウへの影響」というタイトルで、草原性の種について、火入れにより影響のある種とあまり影響のない種の区別について解説し、火入れの重要性について話しました。
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この3題を通して、チョウの保全活動においては、火入れ地をローテーションするなど長期的管理が必要ではあるものの、特定の種にとっては非常に効果的である一方で、「火」そのものへの親密感が薄れてしまった現在の世代にとっては、火のコントロールすら難しく、火入れにおける人員確保の難しさが浮き彫りになりました。


ここで、ひとまず休憩し、協会ボランティア説明会を行いました。
今年は、ツシマウラボシシジミ飼育ボランティア 事務局ボランティア、調査ボランティアを募集しました。ご登録いただきました皆様、どうもありがとうございました。
また昼と15時の休憩時間には、今年1月に出版された「増補改訂版フィールドガイド日本のチョウ」も販売しまして、たくさんの方にお買い求めいただきありがとうございました。


30分の休憩の後、午後の後半部が始まりました。
まず、協会理事の松村氏に「群馬県のミヤマシロチョウ」というタイトルで、ミヤマシロチョウの保全活動の現状についてお話していただきました。
2012年には著しく増加した越冬巣数が、2013年には減少したものの、その後の努力によって、やや回復傾向にあるとの事で、明るい気持ちになりました。
また活動を続けるには、地域研究者だけではなく、地域住民、地域行政との綿密な連携が必要になることも活動の上で重要とわかりました。
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次に、木下沢渓谷冒険の森の会の植木京子氏・吉野喜美子氏に「東京都裏高尾木下沢における森林整備と自然体験の普及活動」というタイトルで、木下沢渓谷冒険の森の会の活動をご紹介していただきました。
木下沢の森林の豊かさと、そこを守る方々の努力が感じられました。会の方が作成された「こげさわ冒険の森の生きものたち」という図鑑も紹介され、会場でも販売されました。
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最後に、当会の活動報告として、ツシマウラボシシジミの保全活動報告、庭のチョウの調査報告、イベント報告などを行い、閉会となりました。
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閉会後には、センター棟2階の「カフェフレンズ」にて懇親会が開催されました。普段お会いできない方々ともお会いでき、まさしく集いの場となりました。
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ご出席の皆さまには、朝から夕方までの長い時間ご聴講いただきまして、本当にありがとうございました。
また、講演者の皆さまには、お忙しい中、興味深く、チョウや生きものの保全を考える上で大切なお話をしていただきまして、厚くお礼を申し上げます。

この集いは年々参加者が増加しており、会場の選択も悩むところです。このイベントは、また来年も同時期に開催する予定ですので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

2019. 3. 5. 事務局 Hiyama (photo by 益永)

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Author:JBCS
日本チョウ類保全協会の公式BLOGです。環境の影響を受けやすいチョウの観察・保全を通じて、自然の大切さを発信しています。

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