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「第8回関西・中国地区のチョウ類の保全を考える集い」開催報告

2月17日(土)、風の強い晴天、2月らしい寒さのなか、「第8回関西・中国地区のチョウ類の保全を考える集い」が大阪市立自然史博物館を会場に開催され、41名にご参加いただきました。

最初に、前回、前々回に続き、関西・中国地区での悪影響が著しくなっているシカの食害問題について取り上げられました。

今回、お話しいただいたのは、豊岡市コウノトリ文化館の菅村定昌氏です。
兵庫県北部におけるニホンジカによる植生被害とその対策と題して、シカの生息分布調査、重要な植物等を守る植生保護柵、シカの捕獲による駆除という3つの取り組みについて紹介していただきました。
20180217-1_菅村氏 trs
捕獲頭数は増えているものの奥山では植生被害が深刻化している場所が多いこと、捕獲技術は進んだものの捕獲されたシカの扱いに手間がかかること、保護柵は1.8m以上なければ有効でないこと、保護柵の設置が困難な場所ではシカに危険を知らせて近づかせないようにしている事例など、現場での具体的な体験や工夫についてお話しいただきました。
植生の維持、回復は、チョウ類の保全にも直結する重要な事柄で、多くのことを学ぶことができました。

続けて、保全団体の連携による相乗効果-チョウ類の持続可能な保全活動を目指してと題して、乙訓の自然を守る会の宮崎俊一氏、加古川の里山・ギフチョウ・ネットの立岩幸雄氏のお2人より、それぞれお話しいただきました。

宮崎氏からは、30年以上にわたる活動により形成された京都府乙訓地域の自然保全団体のネットワークについて、主に、幅広い市民と寄り合う世帯運動、事実調査に基づく行政への働きかけという2つの視点から、具体的な取り組みを紹介いただきました。
20180217-2_宮崎氏 trs
チョウ類も含めて昆虫、植物、哺乳類、貝類など、様々な生き物に興味を持つ仲間どうしが議論しながら、調査、保護、保全活動を計画、実行、点検、是正していくサイクルを回していくことの大切を学ぶことができました。

立岩氏からは、兵庫県東播磨地域のギフチョウの保全に関して、加古川市、加西市、小野市の3市の各団体の連携がいかに始まり、現在どのように連携しているかについてご紹介いただきました。
20180217-3_立岩氏trs
複数の行政区にまたがるギフチョウ生息地全体を囲む形で設置された柵、自然レンジャーの活動、観察会の様子などについてお話しいただきました。
ある区域の行政に区域外の者が働きかける場合は、その区域内の仲間を通して働きかけるのが有効であることを学ぶことができました。

最後に、当協会の事務局中村氏より、ヨーロッパ諸国におけるチョウ類保全活動の紹介と当協会の昨年度の活動の報告が行われました。
20180217関西集い中村trs

開催にあたっては、大阪市立自然史博物館の方々、関西地方の会員の皆様にご尽力いただきました。
関係各位に厚く御礼申し上げます。

20180217関西集い会場s
                      <会場の様子>

次回は、来年同時期に同会場で開催予定です。

チョウ類保全協会幹事 三輪成雄  (文・写真)  
                                  (投稿者:事務局 井上)                                     

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日本チョウ類保全協会の公式BLOGです。環境の影響を受けやすいチョウの観察・保全を通じて、自然の大切さを発信しています。

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