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「第14回 チョウ類の保全を考える集い」を開催しました

2月3日(土)、国立オリンピック記念青少年総合センターにて、「第14回 チョウ類の保全を考える集い」を開催しました。
前日には、雪がちらつきお天気が心配でしたが、当日は交通機関の乱れもなく、まずまずの「集い日和」でした。
オリンピックセンター①ss

ボランティアスタッフの皆さまには、早めに集合していただきまして、打ち合わせ。
朝の打ち合わせtrs①
ご来場者の誘導、受付、販売などを担当していただきました。
受付風景①trs2

開会時間には、たくさんの方にご着席いただき、松村代表理事の挨拶のあと、講演が始まりました。
松村理事挨拶s①

午前の部は 『ゴマシジミの生態と保全』について
1、「アリの巣で暮らすチョウ~ゴマシジミ類の不思議な暮らし~」坂本洋典氏(早稲田大学理工学術院)
2、「ゴマシジミの保全活動の難しさ」中村康弘(当協会事務局)

坂本氏からは、ゴマシジミの宿主アリであるシワクシケアリの分類についての新しい情報や、ゴマシジミ幼虫がアリの巣に入り込むためのメカニズムなどを、イラストなどでわかりやすく解説していただきました。その特殊な生態のため、世界的に絶滅の危機に瀕しているゴマシジミですが、研究が進んで、絶滅を回避する方法が見つかるといいです。
坂本氏trs②
ゴマシジミの暮らしについてのより詳しい話は、坂本氏も著者である「アリの社会 小さな虫の大きな知恵(東海大学出版部)」という本にまとめられているとの事で、会場でも販売されました。
アリの社会trs①
(アマゾンなどでも、購入できます。)

中村氏からは、他の草原性のチョウと比較してゴマシジミ保全がいかに難しいか、4つの理由を挙げて解説‎いただきました。
ワレモコウの開花の時期、アリと食草の分布の一致、草原の維持、飼育が困難な事、の4つでしたが、飼育が困難ということは最後の切り札がないという事なので、生息地で絶滅を阻止しないといけないのだと思いました。

お昼の時間帯には、当会の「第12回総会」が開催されました。
事業報告や予算案などの議案が出され、ご主席の正会員の皆さまより承認いただきました。
総会s①
ご出席くださいました皆さま、どうもありがとうございました。

また、坂本氏がヒアリの生体をご持参下さり、注目を集めていました。
ヒアリtrs①

午後の部の前半  
 『風力発電・太陽光発電による野生生物への影響』

3、「風力発電による鳥への影響」長船裕紀氏(猛禽類保護センター)
4、「太陽光発電による環境改変の実態」永幡嘉之(当会事務局)
5、「太陽光発電による水生昆虫への影響」西原昇吾氏(中央大学理工学部)

長船氏からは、風力発電施設の設置についての、環境面における様々な問題をバードストライクの例を中心にご紹介いただきました。
長船氏s①
再生可能エネルギーの導入と、野生生物保全の両立を模索していかなければいけないことがわかりました。

永幡氏からは、太陽光発電のパネル設置のための開発が急速に進められているが、その設置による生物多様性へのリスクが多々ある事、開発を止める法的根拠がないので対応策に苦慮している実態が紹介されました。
ヒメギフチョウtrs①
     <ヒメギフチョウ>このチョウの生息地に、建設計画があります。

西原氏からは、太陽光パネルが水生昆虫に直接的に及ぼす影響について紹介いただきました。
西原氏s
水生昆虫(コウチュウ、カゲロウ、トビケラなど)は、パネルの表面を水面と認識し誘引されるそうで、飛び込んで死亡したり、産卵してしまうそうです。
現在の効果的な保全策は、パネルなどの人工物と水生昆虫の移動経路を遠ざけることとの事で、環境省に保全の要望書を提出した事の報告もありました。

6、『ヒアリの侵入とその後』 岸本年郎(ふじのくに地球環境史ミュージアム)

岸本氏には、昨年の集いでも「昆虫の世界で外来種問題」の講演をしていただいておりまして、その際にヒアリへの注意喚起もしていただいておりました。
その3か月後に、日本で初めてヒアリの侵入が確認され、ニュースとなりました。
岸本氏trs①
最近では、ニュースでヒアリのことをあまり聞かなくなりましたが、岸本氏の講演では、その後の事例の報告がありました。
そして、現在日本では定着している状況は認められないそうです。
それから、ヒアリの侵入経路、ヒアリと似ているアリの事、日本の在来のアリを大事にしなくてはいけないこと、など具体的に解説してくださいました。
最後の、正しい知識で正しくヒアリを恐れましょう!という言葉に、頷きました。

ここで、休憩。

休憩時間に、協会ボランティア説明会をしました。
今年は、①ツシマウラボシシジミ飼育ボランティア ②事務局ボランティア を募集しました。
数名の方にご登録いただきました。どうもありがとうございます。
このボランティアは、随時募集受付をしておりますので、事務局までお問い合わせください。
また、昨年リニューアルしました当協会のパンフレットの配布を、会場の皆さまにお願いいたしました。
多くの方に、パンフレットをお持ち帰りいただきましたこと、感謝しております。

午後の部の後半
『これからのチョウ類の保全を考える』

7、「広島県のヒョウモンモドキ保全活動の現状と課題」岩見潤治氏(ヒョウモンモドキ保護の会)
8、「各地で起こる緊急事態への対応」中村康弘(当会事務局)
9、「日本チョウ類保全協会による、絶滅危惧種の保全活動」当会事務局

岩見氏からは、ヒョウモンモドキの保全を長期に継続されてきたご経験を踏まえて、次のステップに躍進させるための前向きな投げかけをいただきました。
岩見氏trs①
これからのチョウの保全は、ゆるやかなネットワークを通じて多様な仲間を得ながら、保全の現場では集中力と楽しむマインドを持って、しつこく継続していく、という言葉に一本の道を感じました。

当会中村氏からは、まず、日本のチョウの約4分の1がレッドリストに掲載されている状況であり、このうちもっとも絶滅が危惧されるチョウは絶滅危惧ⅠA類、ⅠB類だけでも、32種・亜種にのぼっていること、当会は国内からチョウの絶滅種を出さないことを目標に活動を行ってきたこと、しかし、年々状況は悪化しており、鹿害などによって急に保全の対応が生じるものもあることが述べられました。
中村氏trs①
緊急事態への対応として、絶滅を回避する方法として生息域外保全があるが、飼育下繁殖を継続させる事も多大な労力がかかるため、あてにし過ぎることはできないことなど、すべてに模索が必要です。
このチョウを取り巻く自然環境は、今後もますます悪化が予想され保全の方向性を再度考えていくことが必要であること、その目標などについて、会場の皆さんからもご意見をいただきました。

最後に、当会の活動報告(ツシマウラボシシジミの飼育繁殖活動報告、庭のチョウの調査報告、イベント報告)をしまして、閉会となりました。

私にとっても、大変勉強になり、有意義な1日でした。
今自分にできることを考えながら、日々過ごしていきたいと思っています。

ご出席の皆さまには、朝から夕方までの長い時間ご聴講いただきましたこと、ありがとうございました。
また、講演者の皆さまには、お忙しい中、興味深く、チョウや生きものの保全を考える上で大切なお話をしていただきまして、厚くお礼を申し上げます。

閉会後には、センター棟2階の「カフェフレンズ」にて懇親会が開催され、交流の場となりました。
懇親会s①

来年も、同時期にこの集いを開催する予定です。

それから、来る2月17日(土)には、「第8回 関西・中国地区のチョウ類の保全を考える集い」を開催します。
こちらも、多くの皆さまのご参加をお待ちしております。
(詳細は、当会ホームページに、記載がございます。)

事務局  井上◇◇
  (photo by 益永、井上)

プロフィール

JBCS

Author:JBCS
日本チョウ類保全協会の公式BLOGです。環境の影響を受けやすいチョウの観察・保全を通じて、自然の大切さを発信しています。

日本チョウ類保全協会のホームページは、
>> こちらです。

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